他に面白そうなものがないからという消去法での残ったのと、とーさんの「お父さんがこの本を持っていた。」というつぶやきで、「Barry Lyndon」を観ることにしました。
それにしても185分!? 無理ー、絶対寝ちゃうーといいながら見始めると思いのほか面白くて、
睡魔と闘いながらも、私の好きな映画ベスト10に入ったこの映画。
ライアン・オニールの淡々とした演技も好きだったし、キャスティングもパーフェクト。
全編を通して流れるバロック音楽も、秋の夜長の映画にはぴったりでした。
主人公のバリーは、人を騙しながら名声を得るのだし、継子には体罰を与えるし、決して善人ではありません。
私が彼に惹かれたのは、次々と身にふりかかる難題を、運命に逆らわず淡々と消化していく潔い生き方です。
彼自身も人を騙しながら、そして愛する人たちからはことごとく裏切られながら、それでも皆、心の奥底に「許す心」というはかない灯をともしながら生きているのだなあと、じんわり感動したのでした。
憎悪は憎悪しか生みません。今の不安定な世界情勢は、憎悪も一つの原因だと思います。
皆が少しでも許す心が持てるなら、憎悪を捨てる気持ちが持てるなら、もう少し良い世界になるのに。
何はともあれ、もう一度観てみたい深い映画でした。
小説も読んでみたくなりました。