2016年2月5日金曜日

そろそろ味気ない生活に別れを告げる

あれは2013年の暮れのこと。鼻風邪をひきました。
熱も咳も出ず、とにかく鼻水のすごいこと、すごいこと。生まれて初めてと思うくらいの鼻水の洪水に驚いたのだけれど、もっと驚いたのは鼻水が止まった3週間後。

            あれ?匂いを感じない?

過敏ともいえるほどの嗅覚の持ち主だったのに...香りも臭いも匂いも何も感じない。

嗅覚ゼロ=味覚ゼロ。焦りまくり!!

お水もジュースもお茶もワインも全部同じ、ただの水分。香りどころか甘いのかしょっぱいのかもわからないなんて。
趣味のアロマセラピーが出来ないから困るって、そんなどころではありません。
何を食べても、無味無臭。
食事は目で見て味を想像しながら咀嚼するという、恐ろしい事態に!

まあ、あれだけの鼻水攻勢にあったのだから、しばらくは仕方ないかなと思いつつ、大人の気構えで平静を装って暮らしてみたけれど...一向に治る気配がありません。
オーブンのピザはもれなく焦がしてしまう、フライパンを見守っていても玉ねぎ炒めを焦がしてしまう、豆を炊いても焦がしてしまう、味付けはさっぱりわからず、料理は全滅。
視覚よりも嗅覚で料理をしていたのですね。
洗剤の入れ加減、お掃除など家事一切も、実は嗅覚が一役買っていたなんて想像だにしませんでした。

嗅覚異常をネットで検索すると、「出来るだけ早く耳鼻科に行くこと。」とあるので、Clinica Quironの耳鼻科を受診した結果、脳には異常がなく、嗅覚の神経が風邪か何かのビールスに冒されて、嗅覚異常になったのでしょうとの診断でした。
「嗅覚が完全に戻る可能性は極めて低いけれど、ないわけではないからじっくり待ってみて。」
と気休めみたいにコルチコステロイドの鼻スプレーを処方された帰り道...落ち込みました。


家事も仕事もできる。山歩きもできる。痛いところがあるわけでもなく、日常生活はそのまんま続けられる。何てことはないじゃない。贅沢な悩み。

            でも、何て味気ない生活

排気ガスや、便の臭い、魚の臭い...みたいに、くさい臭いでもいいのです。匂いが恋しい。
人間の五感のうち嗅覚と味覚の2感覚がなくなると、人生のエッセンスを失ったようで、自分の思考や行動も厚い雲に包まれたような感じになり、何とも頼りない。

それから3ヶ月後ぐらいたった頃、時々ほんの一瞬、香りを感じるようになりました。☆彡
あっと思ったら、すぐに消えてしまう嗅覚だけど。

鼻スプレーが効いたのか、それともただ時間が必要だったのか、少しずつ、少しずつ回復し、2年かけて80%位は元に戻りました。
エッセンシャルオイルの匂いも、かぎ分けられるようになりました。

そして今何よりうれしいのが、山歩きをしていて、ローズマリーやタイムの香りが風に乗ってふんわり鼻孔をくすぐること。


当たり前のことがうれしい。


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