赤い線L1に乗れば、気分は外国。アラブ語、中国語が飛び交い、ロシア語もよく耳にします。4人席で中国人の中に混じってしまうと、私まで中国人になったような気がするあるね。
少数派スペイン人が小さくなって座っています。
そして最近頓に増えた、物乞いとストリートミュージシャン。
代表格のルーマニア、ボスニアあたりのジプシーとおぼしき長いスカートの女性たちが、頭のてっぺんから声を出しながら物乞いをする定番の台詞は:
「セニョーラス、セニョーレス、私には仕事がありません。小さな子供たちを抱えています。
(このあたりからトーンが上がってきます)家も食べ物も、なあーんにもありません。小さな子供ためにミルク代をくださいましー。」
乗客の反応は...ありません。
泥棒と物乞いの大規模な組織ということを誰もが知っているからでしょう。
ジプシーの男性軍はアコーディオンを不協和音でかきならし、受けを狙ってタンゴなどを弾くこともあるけれど、大概下手で早く車外に出て行ってくれることを願うばかりです。
「ライター2本で1ユーロ!」と無愛想に車内を早足で回るおっさんたちも、やっぱりジプシーの組織内の人たちでしょうね。
ところが先日、フェロカリールで新種の物乞いに遭遇しました。
ちょっと見は普通のお兄さん。
「ごめんね。ほんとにすまないと思ってるんだ。人に迷惑をかけるのは嫌いだから。毎日同じ電車で同じ言葉を繰り返すのにも嫌気がさしているんだ。
先週、刑務所から出てきたんだけどさ、皆も知ってるとおりこの不況だろ。仕事みつからないんだよ。本当に探しているんだよ。でも仕事ないじゃない。刑務所出た時に、寝る場所だけは提供してもらえたんだけど、金が無ければ食べ物が買えないんだよ。今すごくお腹空いてるんだ。悪いと思うけど、少しだけ協力してもらえると助かるんだけど。」
と、あたかも友人に話しかける口調で車内を歩きながら、時には立ち止まって乗客の一人一人に語りかける仕草がMuy naturalなのです。
演技なのか、それとも悪い人ではないからなのか、なんだか友達に話しかけられているような錯覚さえして...そういう人に厳しい私でさえ、ちょっと同情的なってしまいます。
結果は大当たり。お金を差し出す人の多いこと、多いこと。
これに味をしめて、仕事を探すのを止めてしまわなければいいのですが。
そして先日地下鉄L5で、素晴らしいギターと歌を聞きました。
一人の南米の若者が、他の多くのストリートミュジシャン同様ギターとミュージックボックスで歌を歌い始めた途端、車内の全員が彼に注目。耳はダンボ。
売れないプロでしょうか。ギターも歌もレベルが高く、しかも歌の内容が「僕が歌を歌うように、みんな夢を忘れないで。」と乾いた心にしみわたる温かい歌。
私の前に座ってたおじいちゃんが、「よっ!うまいぞ!」となかなかいい間合いで声をかけたら、あちこちで拍手が起こりました。
歌い終わって、丁寧にギターをケースに戻して車内を回り始めますと、チャリン、チャリンとセンティモをコップに入れる音が響きわたりました。
実は私もこの時ばかりは小銭でも、と思ったのですが、地下鉄でお財布を出すなどという無謀なことは絶対してはいけません。
いつかまたね、歌の上手なお兄さん。
ところで、バルセロナの地下鉄の回数券(T10)ですが、昨年買った回数券は2月28日で期限切れとなります。
昨年買ったまま財布に入れっぱなしの回数券、ちょっとチェックしてみてくださいね。
3月に、改札機で「ブーッ」は悔しいですから。
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