大きな声では言えませんが(もう言えます)、スペインは無料ダウンロード天国でしたから、
ホームビデオと称して溜め込んだ映画をソファで楽しむことが出来たのに、これも有料となりました。
それでも負けてはおりません。
図書館でDVDを借りるという手がありました。数だけは結構あるのですよ。パッとしない映画の中で、「Departures おくりびと」や黒澤明の邦画が光を放っていたりします。
先日、どこかで見覚えのあるタイトル「EL BUEN NOMBRE(邦題その名にちなんで)」のDVDを見つけました。
インドものらしい。ボリウッドかなあ。まあたまには、そういうのもいいであろう。
ところがこの映画、久々に私のハートを揺り動かしてくれました。
2006年のアメリカ/インド映画です。
相手のことをほとんど知らぬまま、アメリカでエンジニアとして働くアショカと結婚をして渡米するアシマ。
インドとは文化も気候も異なるニューヨークでの生活は、夢に描いたような素敵な生活でもなく、子供が生まれ、歳を重ねていく過程で起こる様々な出来事が淡々と描かれています。
名前に託した父の思い、子の自立に戸惑う母の愛、二つの文化に翻弄される息子。
この息子もやがて結婚をし、初めて父の思いを理解することができるのです。
異国で子を持つ母として、アシマの人生が私の人生にオーバーラップします。
(アシマみたいにキレイだったら、もっとうれしいんだけれど。)
クスっと笑えるユーモアもあり、心にしみて涙がポロポロのシーンもあり、私も異国の地で、家族を守りながら強く生きようって、そんな勇気を与えてくれる映画でした。
私の人生これで良かったんだろうか、と思った時におすすめです。
軽い気持ちで見ていたとーさんも、目頭を押さえてるのを見ちゃいました。
インドの慣習も興味深いです。
原作の作者は、ベンガル系イギリス人作家ジュンパ・ラヒリ。ずいぶん前に友人から薦められて彼女の作品「停電の夜に」を読んだことがあり、その時に「EL BUEN NOMBRE」を探していて見つからなかったことを思い出しました。